積層造形(AM)は、その継続的な発展により、産業分野に多くの可能性と利点をもたらし、新たな時代を切り開く産業変革の実現を約束します。

AMは、3Dプリントとも呼ばれており、需要の高い複雑な設計にも対応できる能力により、製造技術が飛躍的に向上しました。これらの設計には、非常に複雑な内部チャネルや精緻な空間格子などが含まれ、製品の強度や一体成形能力の向上を実現します。また、従来のサブトラクティブ法による製造手法に比べて、重量を大幅に軽減できます。

CNC機械加工などの従来のサブトラクティブ法による製造工程は、体積が大きい製品に適しており、AMよりもコストを抑えることができます。ただし、大きなブロック材料から必要な材料を取り出して、最終成形を行う必要があります。 そのため、こうした従来の製造工程では、廃棄材料が大量に生じるだけでなく、中空製品や多孔質製品の製造、複数の材料の取り込み、迅速な試作といった、AMのような重要かつ革新的な能力が欠けています。

Particle Testing Authorityでは、AMプロセスに大きな影響を与える可能性がある、多様な原料粉末と粒子特性の試験に必要なサービスを提供しています。

粒子径

製造管理において最も重要な属性の1つは、粒子径分布です。粉体流動性に直接的な影響を与えるだけでなく、均一な粉体層密度を提供する能力にも影響を及ぼします。 粒子径分布により、粒子の焼結または結合に必要なエネルギー投入量と、構築部分の表面仕上げを決定します。 レーザー回折法は、粒子径および粒子径分布の測定に使用される、最も成熟かつ普及している分析手法の1つです。

 

粒子の形状

粒子の形状または形態もまた、供給原料粉末の充填特性と流動性に影響を与えます。 球形粒子は、不規則形状の粒子よりも均一に配置できることや充填できることが期待されます。 そのような形状は、粉末の流動性を高めることも分かっており、粉体層システムでは、層の均一化の向上につながります。 さらに、形状は粉体層の充填密度に直接影響を与えるものであり、その結果、最終製品の見かけ密度にも影響を与えます。 不規則形状の粒子は、多くの場合、最終部品の密度を低下させ、気孔率を増大させる可能性があります。

密度

真密度は材料に固有の特性ですが、見かけ密度は材料内部の閉細孔を考慮しています。 原材料の真密度や見かけ密度を知ることは、粉体層の形成と焼結速度についての情報や、最終製品の気孔率についての情報も得ることに役立ちます。

粉末のかさ密度は、粒子の物理特性だけでなく、粉体層内に混入する空気の量にも強く影響を受けます。 かさ密度は、材料の仕様を定める上で重要であり、粉体の流動性や粉体層の形成など、その他の評価値を補足します。

包絡密度は、サンプルの幾何学量に基づいており、複雑で不規則な体積でも正確に測定できるため、最終製品の評価に役立ちます。 真密度の測定と併用すれば、気孔率を素早く簡単に決定できます。

気孔率

AMにおいて、気孔率は、完成部品の最終的な機械的強度と品質の指標になるものです。 通常、気孔率は、それが材料特性、硬度、および表面仕上げに与える影響を最小限に抑えるように管理されます。 ただし、気孔率は最終製品の設計パラメーターそのものである場合もあります。

例えば、人工骨インプラントは周囲の骨の気孔率に適合している必要があります。あるいは、必要な機械的強度を有する軽量製品を作り出すため、設計段階で気孔率が指定される場合もあります。

水銀圧入法は、粉体や成形品の気孔率特性を定量化するための実績ある技術です。 この技術では、厳しく制御された圧力のもとで、多孔質構造に水銀を圧入します。

速度、精度、広い測定範囲といった特長に加えて、水銀圧入法では、細孔径分布、総細孔容積、総細孔表面積、細孔径中央値、かさ密度と骨格密度、気孔率など、非常に多くの特性を評価することが可能です。

表面積

粉体の単位質量あたりの表面積は、非常に重要です。 表面積は、他の成分粒子や周辺環境と反応することができる材料の物理量の1つです。 粗い表面の粒子や内部に気孔のある粒子は、一般に、比表面積が大きくなります。 そのため、表面積は、焼結処理の反応速度と最終製品の特性を調べる上で重要な手段となります。

粉体材料の比表面積は、確立されたBET法を用いて、ガス吸着法によって測定できます。 この技術では、(一般に)極低温状態で窒素ガスを物理的に吸着させます。表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量は、収集した等温線データにBET法を適用することで求めます。

粉体の流動性

粉体基質を原材料とする製品の製造法は、金属産業では確立されおり、他の産業でも開発が進行しています。

焼結用粉末を型内に高密度で充填する場合でも、層ごとに局部的に溶融する場合でも、そのプロセスは原材料の流動特性とバルク挙動に対して敏感です。 流動特性が良くないと、一貫性のない密度や不均一な層形成、付着物、閉塞、そしてダウンタイムを引き起こす可能性があり、それらすべてが生産性と製品品質の低下につながります。

安息角やホールフローの測定など、伝統的な流れの定量化技術は、多くの場合、感度が低すぎて、AM機の性能に影響を与えるような粉末の微妙な違いまで特定できないことが知られています。

粉体レオロジーでは、原材料の動的特性、バルク特性、およびせん断特性の包括的な多変量評価を行い、プロセスに適した材料の定義に利用できるプロセス関連のデータを生成して、プロセスの最適化と粉末のライフサイクル管理を支援します。

環境安定性

原材料の保管時や取り扱い時に、温度や湿度などの環境条件の変化にさらされると、その材料の加工に悪影響が及ぶ場合があります。 そのため、そうした変化が与える影響や、粉末/加工法の環境耐性について理解することが重要です。 これは、TGA、DSC、DVS、あるいはインバースガスクロマトグラフィーを使用したプログラムスタディによって、管理された温度や湿度の変化のもとで粉体の試験を行うことで評価できます。

表面トポグラフィ

表面トポグラフィでは、表面性状の視覚的および化学的な評価を行います。 走査電子顕微鏡(SEM)は、表面を探査して、表面細孔、き裂や割れ、刃状転位などのミクロ構造を調査するために使用されます。 そのためSEMには、部品の破損分析という明らかな用途があります。

しかしSEMは、AM用の原材料粉末の分析にも使用可能です。例えば、凝集の検出、表面粗さの評価、不規則形状の粒子に対する球形粒子の割合の定量化などですが、それらすべてが粉末の流動性と焼結に影響を与えます。