ChemiSorb 2720 & 2750
ベーシックな動的化学吸着分析装置
- 基本的なパルス化学吸着、昇温還元(TPR)、昇温酸化(TPO)および昇温脱離(TPD)の分析に対応
- 触媒のBET比表面積、金属表面積、金属分散度および微結晶サイズを迅速に測定
- 研究開発および品質管理向けに最適化された設計
ChemiSorb 2720およびChemiSorb 2750は、触媒の開発、試験および作製の中核を担う化学吸着および物理吸着試験を実施するための装置です。 動的化学吸着法を採用しており、高感度の熱伝導度検出器(TCD)を使用して、触媒によって化学吸着されたガスの量を正確に測定します。 化学吸着データは、金属分散度、活性表面積、BET比表面積、平均微結晶サイズ、表面の酸性度または塩基度、活性エネルギーなど、触媒の重要なパラメーターに正確に変換されます。 さらに、BET比表面積全体を迅速に測定し、サンプルの微細構造における潜在的な変化を監視することで、触媒をその場で検証できます。
ChemiSorb 2720は、基本的な化学吸着および物理吸着分析に対応する装置で、パルス化学吸着やBET比表面積の1点法測定、総細孔容積の測定に最適です。 搭載されているポートは、収着分析用ポートとサンプル作製用ポートの2種類です。 組み込み式冷却ファンが装備されており、高温活性化後のサンプルの冷却を促進します。さらに、キャリアガス注入口4個と処理済みガス注入口1個が搭載されているほか、質量分析計やその他の外部検出器を排気ポートにオプションで取り付けることも可能です。 実用的な校正および供給手順は、ガスおよび固体表面の相互作用の研究における優れた教育ツールとしても活用できます。
ChemiSorb 2750は、触媒に活性ガスをパルス導入するための注入ループバルブが追加されたことで、機能がさらに強化されました。また、強化されたデュアルポート設計により、2種類のサンプルをその場で作製および分析することが可能になりました。 これらのサンプルポートはどちらも、分析用または脱ガス用ポートとして使用できるため、サンプルを移動させる必要がなくなり、作業時間を短縮できるだけでなく、サンプルの移動中に触媒が汚染されるリスクを軽減できます。
オプションのChemiSoft TPX System(昇温コントローラーおよびソフトウェア)を導入すれば、昇温還元法(TPR)、昇温酸化法(TPO)および昇温脱離法(TPD)を追加して、ChemiSorb 2720とChemiSorb 2750の機能を拡張できます。 ChemiSoft TPXソフトウェアには、高度なデータ削減オプションとレポートオプションが搭載されています。
特長と利点:
- サンプルの作製と分析に対応するデュアルポートにより、別のサンプルを分析しながら触媒を活性化させることができ、スループットが向上
- 高温による活性化後にサンプルを周囲温度まですばやく冷却することで、分析時間を短縮
- 質量分析計などの外部検出器向けのオプションのインターフェイスにより、検出性能を強化
- オプションのChemiSoft TPX Systemにより、分析機能の汎用性を強化
仕様
ChemiSorb 2720
ChemiSorb 2720 仕様
サンプルパラメーター
活性ガス容積 | 最小: 0.001 cm³ 最大: 10 cm³以上 |
活性比容積 | 最小: 0.0001 cm³/g 最大: 20 cm³/g以上 |
表面積 | 最小: 0.2 m² 最大: 199.9 m² |
比表面積 | 最小: 0.02 m²/g 最大: 十分に小さいサンプルの重量のみに限定されます |
細孔容積 | 最小: 0.0001cm³ 最大: 0.15cm³ |
サンプルサイズ | 最大直径1 cm³ x 長さ3 cm³ |
サンプルポート | サンプル専用ポート1個、分析専用ポート1個 |
スループット | 活性容積: 注入手順に応じて異なります(通常サンプル当たり1~2時間) 表面積: 通常サンプル当たり12分 総細孔容積: 通常サンプル当たり45分 |
作製温度 | 35~400 °C(マントルヒーターを使用) |
精度/再現性
活性容積 | 低いおよび中程度に低い: 通常± 2%以上(精度)、± 0.5%(再現性) 高い: 通常± 1.5%以上(精度)、± 0.5%(再現性) |
表面積 | 低いおよび中程度に低い: 通常± 3%以上(精度)、± 0.5%(再現性) 高い: 通常± 2%以上(精度)、± 0.5%(再現性) |
供給
ガス | アンモニア、一酸化炭素、水素、亜酸化窒素、酸素。 ヘリウム、窒素、アルゴン、クリプトン、エタン、n-ブタンおよびその他の非腐食性ガスの混合物。
1点法による分析には、窒素(N₂)30%およびヘリウム(He)70%の混合物が推奨されます。 多点法による分析には、ヘリウム(He)および窒素(N₂)約5%、12%、18%および24%の混合物が推奨されます。 |
冷却材 | 液体窒素またはアルゴン、溶媒スラッシュ溶液槽、氷水が吸着質として適しています。 |
露出物質
サンプルチューブ | 水晶(化学吸着)、ホウケイ酸塩(物理吸着) |
露出物質 | ステンレススチール、ホウケイ酸ガラス、ブナN、不動態化レニウムタングステンフィラメント、PEEK、テフロン、ニッケル、シリコーン(セプタム)。 不活性ガス流路用の真鍮および銅 |
動作環境
温度 | 動作温度:15~35 ºC 保管または配送温度:0~50 ºC |
湿度 | 20~80%(相対湿度、結露なきこと) |
電気的
電圧 | 100、120、220または240 VAC ± 10% |
周波数 | 50/60 Hz |
電力 | 1.25 A(100/120 VAC) 0.75 A(220/240 VAC) |
物理的
高さ | 53 cm |
幅 | 46.5 cm |
奥行 | 30.5 cm |
重量 | 18 kg |
ChemiSorb 2750
ChemiSorb 2750 仕様
サンプルパラメーター
活性ガス容積 | 最小: 0.001 cm³ 最大: 10 cm³以上 |
活性比容積 | 最小: 0.0001 cm³/g 最大: 20 cm³/g以上 |
表面積 | 最小: 0.2 m² 最大: 199.9 m² |
比表面積 | 最小: 0.02 m²/g 最大: 十分に小さいサンプルの重量のみに限定されます |
細孔容積 | 最小: 0.0001cm³ 最大: 0.15cm³ |
サンプルサイズ | 最大直径1 cm³ x 長さ3 cm³ |
サンプルポート | サンプルの作製および分析用ポート2個 |
スループット | 活性容積: 注入手順に応じて異なります(通常サンプル当たり1~2時間) 表面積: 通常サンプル当たり12分 総細孔容積: 通常サンプル当たり45分 |
作製温度 | 35~400 °C(マントルヒーターを使用) |
ガス注入ループ 容量 |
100 μL、500 μL、1000 μL(本体の標準セットとして装備、その他のサイズも利用可能) |
精度/再現性
活性容積 | 低いおよび中程度に低い: 通常± 2%以上(精度)、± 0.5%(再現性) 高い: 通常± 1.5%以上(精度)、± 0.5%(再現性) |
表面積 | 低いおよび中程度に低い: 通常± 3%以上(精度)、± 0.5%(再現性) 高い: 通常± 2%以上(精度)、± 0.5%(再現性) |
供給
ガス | アンモニア、一酸化炭素、水素、亜酸化窒素、酸素。 ヘリウム、窒素、アルゴン、クリプトン、エタン、n-ブタンおよびその他の非腐食性ガスの混合物。
1点法による分析には、窒素(N₂)30%およびヘリウム(He)70%の混合物が推奨されます。 多点法による分析には、ヘリウム(He)および窒素(N₂)約5%、12%、18%および24%の混合物が推奨されます。 |
冷却材 | 液体窒素またはアルゴン、溶媒スラッシュ溶液槽、氷水が吸着質として適しています。 |
露出物質
サンプルチューブ | 水晶(化学吸着)、ホウケイ酸塩(物理吸着) |
露出物質 | ステンレススチール、ホウケイ酸ガラス、ブナN、不動態化レニウムタングステンフィラメント、PEEK、テフロン、ニッケル、シリコーン(セプタム)。 不活性ガス流路用の真鍮および銅 |
動作環境
温度 | 動作温度:15~35 ºC 保管または配送温度:0~50 ºC |
湿度 | 20~80%(相対湿度、結露なきこと) |
電気的
電圧 | 100、120、220または240 VAC ± 10% |
周波数 | 50/60 Hz |
電力 | 1.25 A(100/120 VAC) 0.75 A(220/240 VAC) |
物理的
高さ | 53 cm |
幅 | 46.5 cm |
奥行 | 30.5 cm |
重量 | 22 kg |
技術
ChemiSorb 2720
ChemiSorb 2720
汎用性の高い化学吸着分析装置を手頃な価格で提供
ChemiSoft TPXオプションを装備していないChemiSorb 2720は、その基本的なシステム構成により、規模の小さい研究所でも限られた予算内で化学吸着や物理吸着分析を実行できます。 ChemiSorb 2720なら、パルス化学吸着研究や比表面積分析を迅速かつ正確に行うことが可能です。 搭載されているポートは、収着分析用ポートとサンプル作製用ポートの2種類です。 さらに、サンプルポート用の組み込み式冷却ファン、キャリアガス注入口4個、処理済みガス注入口1個が搭載されているほか、質量分析計やその他の外部検出器を排気ポートにオプションで取り付けることも可能です。 金属分散度や活性金属表面積、微結晶サイズ、酸性部位、塩基部位の測定といった化学吸着分析に加えて、BET比表面積やラングミュア(Langmuir)比表面積、総細孔容積などの物理吸着分析にも対応します。 実用的な校正および供給手順は、ガスおよび固体表面の相互作用の研究における優れた教育ツールとしても活用できます。
(ChemiSoft TPXオプションを装備していない)ChemiSorb 2720では、2つの方法でデータを収集できます。1つ目は、前面パネルメーターを使用する方法です。このメーターを調整して、サンプルに吸収されたガス容量、またはサンプルから放出されたガス容量を表示できます。2つ目は、チャートレコーダーを使用して、熱伝導度検出器からのアナログ出力を監視する方法です。
- サンプルの作製と分析に対応するデュアルポート
- サンプルポート用の組み込み式冷却ファン、キャリアガス注入口4個、処理済みガス注入口1個
- ChemiSorb 2720の基本システムでは、パルス化学吸着法を用いて、金属分散度や活性金属表面積、微結晶サイズ、酸性部位、塩基部位を測定可能。 BET比表面積やラングミュア(Langmuir)比表面積、総細孔容積などの物理吸着分析にも対応
- 質量分析計やその他の外部検出器をオプションで取り付けて、脱離種や反応生成物を検出可能
ChemiSorb 2750
ChemiSorb 2750
高い精度と汎用性
(Chemisorb 2720と同じ設計要素で構築されている)ChemiSorb 2750は、触媒に活性ガスをパルス導入するための注入ループが追加されたことで、機能がさらに強化されました。また、強化されたデュアルポート設計により、2種類のサンプルをその場で作製および分析することが可能になりました。 デュアル機能のサンプルポートは、分析用または脱ガス用ポートとして使用できるため、サンプルを移動させる必要がなくなり、 作業負担を軽減できるだけでなく、漂遊ガスへの暴露によって活性サンプルが汚染されるリスクを低減できます。
多様な分析を、これまで以上に容易に実行できます。 キャリアガス注入口4個と処理済みガス注入口3個に加えて、パルス化学吸着ガス用の注入口が1個追加されました。 ポート数が増えたことで、ガス供給ラインを手作業で切断、再接続および取り外す必要がなくなり、ガス交換を迅速に行うことができます。これにより、汚染リスクを最小限に抑えて、運用のしやすさを向上できます。
注入セプタムに注入ループバルブを組み合わせることで、高い精度と再現性を実現できます。 注入ループは、注入容量に応じて容易に交換できます。 電動注入バルブは、H2、CO、O2、N2O、NH3、液体蒸気原料およびその他の吸着ガスに対応します。 組み込み式の処理済みガス注入口3個とキャリアガス注入口4個が装備されており、ガス供給ラインを切断、再接続および取り外すことなく、多様な試験を実施できます。
ChemiSorbの一般的な適用分野
触媒:触媒の活性表面積と細孔構造は、生成物の反応速度と収率に大きな影響を与えます。 細孔径を抑制することで、希望するサイズの分子のみが出入りできるようにすると共に、選択触媒を作製して、希望する生成物の産出を高めることができます。 化学吸着試験は、目的に応じた触媒の選択や触媒ベンダーの適格性評価に役立つほか、触媒の性能について長期にわたる試験を行い、触媒を再活性化または交換すべきタイミングを見極めることができます。
燃料電池:Pt/CやPtRu/C、PtRuIr/Cなどの白金系触媒は、昇温還元法によって酸化物相数を測定したり、パルス化学吸着法によって金属表面積や金属分散度、平均微結晶サイズの特性分析を行うことができます。
部分酸化:マンガン、コバルト、ビスマス、鉄、銅および酸化銀は、アンモニアやメタン、エチレン、プロピレンなどの気相酸化に使用されることが多いです。 昇温酸化法と昇温脱離法を用いて、これらの触媒からの酸素脱離の温度と、金属酸化物からの酸素解離の温度を測定できます。
接触分解:触媒作用は、石油精製に広く用いられています。 ゼオライトなどの酸触媒は接触分解に使用され、アンモニアの化学吸着法や昇温脱離法を用いて特性分析されることが多く、酸性部位の数や強度を測定します。
白金やレニウム、スズシリカ、アルミナ、シリカアルミナなどの接触改質触媒は、水素、芳香族、オレフィンの製造に使用されます。 これらの触媒の特性分析には、パルス化学吸着法を使用することが多く、活性部位の数や金属分散度、平均微結晶サイズを測定できます。 貴金属(通常は白金)を含有する小孔ゼオライト(モルデナイトおよびZSM-5)などの異性化触媒は、直鎖パラフィンを分枝パラフィンに変換して、混合ガソリンのオクタン価を向上させるために使用されます。 多くの場合、昇温還元法とパルス化学吸着法を組み合わせて、これらの触媒の特性分析を行います。
水素化分解触媒、水素化脱硫触媒および水素化脱窒素触媒は、通常金属硫化物(ニッケル、タングステン、コバルト、モリブデン)で構成されます。 水素化分解触媒は、一般的な接触分解プロセスには適していない多環芳香族を含有する供給材料の処理に使用されます。 また、これらの付加価値の低い生成物をガソリンやディーゼル燃料に改良するために使用されます。 水素化脱硫触媒と水素化脱窒素触媒は、石油供給材料から硫黄と窒素を除去するために使用されます。 硫黄と窒素はどちらも触媒毒であり、ガソリンやディーゼル燃料から除去されない場合、汚染源(酸性雨)となります。 昇温還元法と酸素化学吸着法を使用して、これらの材料の酸化物相と活性表面積の特性分析を行います。
フィッシャー・トロプシュ合成では、コバルトと鉄ベースの触媒を使用して、合成ガス(一酸化炭素および水素)を、メタンよりも大きい炭化水素に変換します。 フィッシャー・トロプシュ法は、硫黄と窒素が含まれておらず、水素が主成分の炭化水素を合成するため、非常に重要な手法です。 これらの炭化水素は、輸送や流通が容易で、水素に改質して燃料電池を供給することができる液体燃料として期待されています。 これらの触媒の特性分析には、パルス化学吸着法と昇温脱離法を用いることが多く、金属表面積と金属微結晶の平均サイズを測定します。
オプションのChemiSoft TPX System
アクセサリーの見積りオプションのChemiSoft TPX System(昇温コントローラーおよびソフトウェア)を導入すれば、昇温反応法やデータアーカイブ、高度なデータ削減オプションとレポートオプションを追加して、ChemiSorb 2720とChemiSorb 2750の機能を拡張できます。
物理吸着機能には、多点法によるBET比表面積の測定が含まれます。